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2007年7月14日発行 JAZZ LIFE 最終ページより


発行年月日  2007年7月14日
媒体(紙誌)  JAZZ LIFE
紙面       194ページ

We Play Jazz!
毎年異なるテーマで観客を楽しませる
第28回"スゥイング・イズ・ヒア!"

東京都社会人ビッグバンド連盟が主催するビッグバンド・フェスティヴァル
「スゥイング・イズ・ヒア!」が今年も開催された。毎回多彩なゲストと異なるテーマを用意して、観客を飽きさせないこのライヴの裏側をリポートしよう。ジャズライフ誌07年7月号

毎年5月下旬から6月上旬にかけて開催され、多くの観客を動員するイヴェント、”スゥイング・イズ・ヒア!”。これは東京都社会人ビッグバンド連盟に所属する6つのバンドが一堂に会するもので、今回で28回目を迎えた歴史のあるライヴだ。
 今回のサブ・タイトル「リラクシン・ウイズ・フルート」のように、毎回異なったテーマが設けられ、それに沿って各バンドともレパートリーを考慮し、練習を重ねてくるというのが特徴。
 そもそもこのイヴェントを始めるきっかけはなんだったのか・・・・
連盟の委員長、小浜賢治氏に話を聞いた。
小浜:26年前、当時から神奈川にはしっかりとしたビッグバンド連盟があったんです。でも私たちが把握する限り、東京にはそういった連盟がなくて・・・・それならば作ってしまおうと、いくつかのビッグバンドで集まって組織したのが連盟の始まりです。
 そして、連盟に所属するバンドが集まって演奏する場を・・・・と思ってこのイヴェントを開催しました。最初の2年間は年2回やっていたので、26年目にして28回なのですが・・・・。
----毎回テーマが異なるというのは、面白い趣向ですね。
小浜:そもそも、このイヴェントは杉並区の教育委員会の共催事業として開催しているので、区の情報誌などを読んで会場に来られたお客さんにも楽しんでもらうために、自己満足で難しい曲ばかりを演奏するのではなく、親しみのある曲を演奏したり、イヴェントを通して一貫した趣旨のようなものが必要なのでは? と感じてテーマを設けるようにしたんです。今回はゲストと整合を取りながら「フルート」にしましたが、以前は「ボサ・ノヴァ」や「グレン・ミラー」などもありました。テーマに沿った曲を各バンドが1曲以上演奏するというものなんですが、時間のない中で一生懸命練習するから、自分たちでも知らないうちに上手くなっているんです(笑)。
いままでに、エリック・ミヤシロ(tp)さん、佐久間勲(tp)さん、大坂昌彦(dr)さん&原朋直(tp)さんなど、数々のプロ・ミュージシャンを招いて共演してきたのと同時に、毎回異なるテーマを置くことによって、メンバー/バンドの実力が伸びてきたのは嬉しいことです。
---連盟としての意図は実現しているわけですね。
小浜:そうですね。カウント・ベイシーしか演奏しなかったバンドが他のバンドの曲にも挑戦するようになったり、ダンス・バンドがコンサート・バンドに変わってきた、などの変化は見られます。
---他に、このイヴェントで反応はありましたか?
小浜:最近はアマチュア・ビッグバンドがとても増えています。昨年のライヴの後も、3つのバンドから連盟に加盟したいという問合せを受けました。もちろん加盟に関してはこちらは大歓迎なのですが、そう簡単に継続できるものでもないんです。1枚1500円のチケット・ノルマが各バンド数十枚あるのに、当日は30分しか演奏時間がなかったり、会場の設営や、拘束時間など大変な面も多いので、「それならライヴハウスを借りてワンマン・ライヴをやります」というバンドもありますから。でもね、それだと自己満足で終わっちゃう場合が多いんです。単独のライヴはもちろんよいと思いますし、私たちもやっていますが、同時にこういうイヴェントで新しい挑戦をしながら他のバンドと切磋琢磨していくことで、バンドとしても連盟としても成長していけたら、ビッグバンドの世界はもっと面白くなると思います。■

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